culture × culture ジョージア編2026.01.20

ヨーロッパとアジアの境界に連なるコーカサスの丘陵と山々。その懐に抱かれるように存在する国がジョージアです。歴史を重ねてきた教会や要塞、ぶどうの樹が育んできたワイン文化、そして訪れる者を家族のように迎え入れる人々のおもてなし。ジョージアは、自然と文化、過去と現在が幾重にも交差する場所です。

ジョージアは、コーカサス三国の中央に位置し、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコと国境を接しています。首都トビリシは、まさに文化の交差点。旧市街には迷路のような路地が張り巡らされ、硫黄泉の温泉文化、イスラムとキリスト教の建築様式が一つの街に共存する独特の景観が広がっています。ジョージアが歴史的に特異な存在である理由のひとつが、4世紀初頭(337年頃)に、世界で2番目にキリスト教を国教として受け入れた地域であることです。信仰とともに育まれてきた教会や聖堂は、単なる建築物ではなく、人々の精神文化そのものを今に伝えています。なお、世界で最初にキリスト教を国教にした国はアルメニアです。

ジョージア料理は、味覚だけでなく、その背景にある生活や価値観を含めて語られる文化の一つです。代表的な料理のひとつが「ヒンカリ」。肉汁をたっぷり閉じ込めた大ぶりのダンプリングを手でつかみ、まず中のスープを味わってから食べるのが作法とされています。山岳地帯の保存食として発展したこの料理は、厳しい自然環境の中で培われた知恵と、素朴な力強さを感じさせます。もうひとつ欠かせないのが「ハチャプリ」です。発酵生地にチーズをたっぷり詰めて焼き上げるこの料理は、地域ごとに形や味わいが異なり、家庭の数だけレシピがあるとも言われます。特に舟形の生地に卵とバターを落としたタイプは、ジョージアの豊かな乳製品文化を象徴する存在です。

ジョージアは、単なる観光地ではありません。そこには、歴史と自然、精神性と祝祭、日常の暮らしと味覚が重なり合う、一つの大きな文化圏があります。ワインの杯を交わし、教会の静けさに身を置き、山々とぶどう畑を巡る―。そんな旅をしてみたくなりますね。

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